「中和」ついてのまとめています。中和反応は、よく入試で出題される単元の1つです。今回の「塩酸と水酸化ナトリウムの中和」「硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和」「硝酸と水酸化カリウム水溶液の中和」は確実におさえておきたいところです。最後には、「中和反応・塩」の実験の演習問題をつけています。それでは、中3理科の「中和」ついてのまとめをみてきましょう。
中和
中和は、酸性と水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜ合わせ、互いの性質を打ち消し合う反応。特に、酸の水素イオンとアルカリの水酸化物イオンとカ結びついて水(H2O)になる化学変化です。中和反応の実験では、酸性、中性、アルカリ性の変化に着目することがポイントとなります。
- 水素イオン+水酸化物イオン→水(H++OH–→H2O)
塩酸と水酸化ナトリウムの中和
酸性の塩酸とアルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると次のような反応が起こり、水と塩ができます。
- 塩酸+水酸化ナトリウム水溶液→水+塩化ナトリウム【化学反応式】
HCl+NaOH→H2O+NaCl - 塩酸+水酸化ナトリウム水溶液→水+塩化ナトリウム水溶液【電離式】
H++Cl–+Na++OH–→H2O+Na++Cl–
塩酸も水酸化ナトリウム水溶液もどちらも水溶液です。なので電離している状態です。中和反応が起こった後も生じた塩の水溶液になっているので、ナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl–が水溶液中にあります。
つまり、Na+とCl–は反応前後で変化していませんので、中和自体の反応は
- 水素イオン+水酸化物イオン→水
H++OH–→H2O
になります。
硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和
酸性の硫酸とアルカリ性の水酸化バリウム水溶液を混ぜると次のような反応が起こり、水と塩ができます。
- 硫酸+水酸化バリウム水溶液→水+硫酸バリウム【化学反応式】
H2SO4+Ba(OH)2→2H2O+BaSO4 - 硫酸+水酸化バリウム水溶液→水+硫酸バリウム【電離式】
2H++SO42-+Ba2++2OH–→2H2O+BaSO4
このときできる硫酸バリウムという塩は水に溶けにくい塩ですので、白い沈殿になります。
硫酸バリウムは水に溶けにくい塩です。中和が起こった後は、電離して水に溶けている状態ではなく、むずびついて白い物質として沈殿します。
硫酸と水酸化バリウム水溶液を完全に中和させると、水溶液中にはイオンがまったく存在しない状態になります。つまり、電流が流れなくなることも覚えておきましょう。
中和の練習問題
酸とアルカリの水溶液を混ぜ合わせたときに起こる変化について調べる実験を行いました。その実験の手順と結果を読んで、次の問いに答えなさい。
- うすい塩酸40mLをビーカーに入れ、フェノールフタレイン液を少量加えた。
- 水酸化ナトリウムを水に加えて、4%の水酸化ナトリウム水溶液を100gつくった。
- 2でつくった水酸化ナトリウム水溶液を、1のビーカーに少しずつ加えていった。
- 加えた水酸化ナトリウム水溶液の体積が70mLになるまで、水酸化ナトリウム水溶液を加えていき、水酸化ナトリウム水溶液を加えるたびに、ビーカー内の液を色を調べた。
<結果>
加えた水酸化ナトリウム水溶液の体積が50mLになるまでは無色であったが、それ以降はある色に変化した。
問1:手順2で、水酸化ナトリウム水溶液をつくったとき、水酸化ナトリウムを加えた水の質量は何gか求めよ。
問2:<結果>に出てくる「ある色」とは、何色か答えなさい。
問3:手順3,4を行っている間、ビーカー内の液中に存在している水酸化物イオンの数を変化を表したグラフとして適切なものを次のア~エを1つ選びなさい。
問4:次の文章の( )に適語を入れよ。
中和の練習問題の解答
問1 96g
水酸化ナトリウム=100×0.04=4g
水=100-4=96g
問2 赤色
問3 ウ
問4 中和 / 塩
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