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高校入試対策古文「増鏡のよく出る問題」

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高校入試対策古文「増鏡のよく出る問題」です。古文の中でも歴史的な背景を深く感じられる作品「増鏡」は、高校入試で頻出する重要な作品のひとつです。その内容は、歴史的な出来事や人物の描写が多く、問題としてもさまざまな形で出題されます。
この記事では、「増鏡」で特によく出る問題の傾向を分析し、得点アップにつながる勉強のポイントや解き方を解説します。苦手意識を克服し、自信を持って入試に挑むために、ぜひこの記事を活用してください!

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【問題】増鏡のよく出る問題

【問題】次の古文は『増鏡』の一節である。これを読んであとの問に答えなさい。

三月の初めつかたより、春宮①例ならずおはしまして、日々重らせ給う。さまざまの御②修法どもはじめ御祈り、何やかやと伊勢にも御使ひ奉らせ給へど、かひなくて、三月二十日、つひに③あさましくならせ給ひぬ

④宮の内、火を消ちたる心地して、まどひあへり。御乳母の対の君といふ人、夜昼御かたはら去らず、aさぶらひなれたるに、いみじき心まどひ、まことにをさめがたげなり。限りと見え給ふ御顔にさしよりて、「かく残りなき身を御覧じ捨ててはえおはしましやらじ、いま一たび、御声なりとも聞かせさせたまひて、いづ方へも御伴にゐてbおはしてよ」と、声を惜しまずc泣き入りたまへるさま、いとあはれなり。すべて、宮の内とよみ悲しむさま、いはんかたなし。

※春宮…後二条天皇の皇子である邦良親王のこと。
※伊勢…伊勢神宮のこと。皇室の祖先が祭ってある。
※限り…臨終

問一 傍線部a~cの主語として、適当なものを次の中からそれぞれ選びなさい。
ア 春宮
イ 伊勢
ウ 乳母(対の君)
エ 人々

問二 下線部①「例ならずおはしまして」、下線部② 「修法」、下線部 ③ 「あさましくならせ給ひぬ」を口語訳(現代語訳)しなさい。

問三 下線部④「宮の内」と同じ意味を表すものを次の中から一つ選びなさい。
ア 帝
イ 主上
ウ 母屋
エ 渡殿
オ 九重

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【解答・解説】増鏡のよく出る問題の解答

「増鏡」は歴史物語です。鎌倉時代の前半から南北朝までの歴史を皇室中心に描いています。ここでは、皇太子にあたる「春宮」が病気になり、亡くなってしまいます。そして、まわりの人間が悲嘆に暮れているシーンが描かれています。

問一 aウ(乳母)  bア(春宮) cウ(乳母)

a… 「人物、」は主語(訳=人物は(が)、)と考えます。aの前に「御乳母の対の君といふ人、」とあるから、主語はウ。
b..「 」の中に尊敬語があったら、主語は二人称が多いんでしたね。
c… 登場人物と文脈で考えて主語はウ。ここで突然、乳母の動作に尊敬語が使われていることにも要注意です。

問二 
①病気におなりになって(病気でいらっしゃって)
②加持祈祷
③お亡くなりになった

①「例ならず」は「心地例ならず」と同じ表現で、「病気である」という意味です。
②「加持祈祷」のことを「業」や「修法」といいます。
③「あさましくなる」は「死ぬ(亡くなる)」と訳す古語。このように、病気や死に関連する古語を整理しておくとスムーズに読解できますよ。

問三 オ(九重)

「宮の内」とは要するに「宮中」(=内裏)のこと。選択肢の中で同様の意味を持つのはオの「九重(ここのへ)」のみです。アの「帝」・イの「主上」は「天皇」のことですよ。

<現代語訳>
三月の初め頃から、春宮(邦良親王)は病気でいらっしゃって、日々重くおなりになる。様々の加持祈祷などをはじめお祈りして、何やかやと(行い)伊勢神宮にもお使いを差し上げなさったが、その甲斐もなくて、三月二十日、ついにお亡くなりになった。

宮中は、火を消したような感じがして、皆悲しみにうちひしがれている。春宮の乳母の対の君という人は、夜も昼も(春宮の)お側を離れず、お仕えなれていたので、非常に悲観し、(その悲観は)本当にしずめがたいようである。臨終(寸前)と見えなさる(春宮の)お顔にさしよって、「このように余命いくばくもない私を見捨てなさったとしたら(あの世にも)いらっしゃることはできないでしょう、今一度、(その)お声だけでもお聞かせになって、(私をどこへでも従者として連れていらっしゃってくださいよ」と、大声でお泣きになる様子は、非常にしみじみと気の毒である。すべて、宮中の人々)が大声で泣き悲しむ様子は、言いようがない。

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