中3理科「滑車を使った仕事の対策問題」ポイント解説付です。
滑車を使った仕事の定期テスト過去問分析問題
【問1】モーターが行う仕事について調べる実験を行った。下の文章は、その実験の手順です。ただし、質量100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとし、ばね、滑車、糸の質量および滑車の摩擦や糸ののびは考えないものとします。
<手順>
- ばねに質量100gのおもりをつるしたところ、ばねは2cmのびた。
- 図1のように、物体Aにばねと糸をとりつけ、糸を定滑車に通して床に固定したモーターに結びつけた。
- 2のあと、モーターに接続している電源装置のスイッチを入れ、糸がピンと張ったときから80秒間、糸を一定の速さで巻き取った。図2は、その時間とばねののびの関係を、グラフに表したものです。
- 新たに、動滑車を準備し、図3のような装置を組み立て、3のときと同じ速さでモーターに糸を巻き取らせました。
(1)次の文の( )のうち、適切な方を選び答えよ。
(2)実験で使用した物体Aの質量を求めよ。
(3)手順3で、モーターは物体Aに対して、70秒間で何Jの仕事を行ったか求めよ。
【問2】次の場合の仕事の大きさは何Jか。ただし、100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとする。
- 3Nの力で物体を2m持ち上げた。
- 200gの物体を0.5m持ち上げた。
- 5㎏の物体を10cm持ち上げた。
- 床にある2kgの物体を摩擦に逆らってズルズルと60cm移動させた。このとき、ばねばかりは5Nを示していた。
- 200gの物体を80cm持ち上げたときの仕事の大きさは何Jか。
- 3kgの荷物を持ったまま10m歩いた。
- 床にある6kgの荷物を30Nの力で50cmズルズルと移動させた。
- 2kgの荷物を50cm持ち上げるのに5秒かかった。このときの仕事率は何Wか。
【問3】次の問いに答えなさい
- 次の(1),(2)にあてはまる言葉を答えなさい。
仕事 [J] = 物体に加えた( 1 ) [N]×力の向きに移動させた( 2 ) [m] - 20 Nの力で荷物を 0.5m 持ち上げたときの仕事は何Jか。
- 水平面である物体を3mおしたとき, 20Nの摩擦力がはたらいた。このときの仕事は何Jか。
- 定滑車を使って荷物を持ち上げるとき,これを利用しない場合と比べて、①加える力の大きさ、②ひもを引く距離はそれぞれどうなるか。
- 動滑車を使って荷物を持ち上げるとき,これを利用しない場合と比べて、①加える力の大きさ、②ひもを引く距離はそれぞれどうなるか。
- 摩擦や道具の質量を考えない場合、動滑車を利用すると、これを利用しない場合と比べて、仕事の大きさはどうなるか。
滑車を使った仕事の定期テスト過去問分析問題の解答
【問1】
(1)変化していない / 増加している
(2)0.6kg (100×12/2=60g=0.6kg)
(3)0.12J
【問2】
- 3N×2m=6J
- 2N×0.5m=1.0J
- 50N×0.1m=5J
- 5N×0.6m=3.0J
- 2N×0.8m=1.6J
- 0J
- 30N×0.5m=15J
- 10J÷5秒=2.0W
【問3】
- (1)力、(2)距離
- 10J
- 60J
- ①変わらない ②変わらない
- ①小さくなる ②大きくなる
- 等しい
仕事のポイント
仕事の量は力と移動距離で決まる。物体を動かさないときには、物体に力がはたらいていて、電力や燃料を補給する必要がないが、物体を動かそうとすれば、その分だけ何かを補給しなければならない。したがって、物体に力を加えてその物体が動いたときに、物体に対して「仕事をした」といいいます。
仕事の表し方の量は大きさと力の向きに動いた距離の積で表される。仕事の大きさは、作用する力が大きく、大きいほどそれに比例して大きくなる。
仕事か否かの例
- 仕事×:10kgの物体をもって10分間立っていた。物体動いてないから仕事はしていない。
- 仕事×:10kgの物体をもって水平に10m歩いた。地面から垂直平行に力がくわえているが、その向きに物体を置いてないから仕事はしていない。
- 仕事○:10kgの物体を鉛直方向に1m引き上げた。力の向きに鉛直方向ではその向きに物体が動いているから仕事をした。
仕事の大きさ
仕事の量は、物体にはたらかせた力の大きさと力の向きに物体が動いた距離との積で表す。
(仕事の公式)仕事[J]=力の大きさ[N]×移動距離[m]
仕事率
仕事の能率は、仕事率で表す。単位時間になされた仕事の量をいう。単位はW(ワット)。
(仕事率の公式)仕事率[W]=仕事[J]÷時間[秒]
仕事の原理のポイント
力で楽(ラク)ができても、仕事の量は変わらない。道具を使うと小さな力で大きな力を出すことができる。しかし、仕事の量を大きくすることはできない。これを仕事の原理という。たとえば、てこや滑車・斜面などの道具を使って仕事をさせるとき、力を大きくすることはできるが、道具に対してあたえた仕事よりも大きな仕事を道具にさせることはできない。仕事の原理は、道具を使っても、仕事を新しくうみ出すことができないことを表している。
てこを使った仕事
てこを使った仕事でも仕事の原理は成り立つ。
滑車を使った仕事
滑車を使った仕事も仕事の原理は成り立つ。重さの無視できる動滑車を1つ使うと、たとえば、重さ10Nの物体を引き上げる力Fは、5Nでよい場合があったとする。
一方で、この場合、物体を10cmだけ引き上げるには、ひもを20cm引かなければならない。このとき、人が動滑車にする仕事は、 (ひもに加える力)×(ひもを引く距離)=5[N]×0.2m=1.0となる。
また、動滑車が物体にする仕事は、 (物体の重さ)×(物体を引き上げる距離)= 10[N] × 0.1[m] = 1.0 となる。人がする仕事と滑車が物体にする仕事とは等しく、仕事の原理が成り立つ。
- 定滑車による仕事:物体を引き上げるとき、力の大きさは物体の重さと同じで、ひもを引く長さは、物体が動く距離と同じ。
- 動滑車による仕事:物体を引き上げるとき、力の大きさは物体の重さの1/2で、ひもを引く長さは物体が動く距離の2倍。
力の合成・分解
斜面上の物体の重力は、2つの力に分解する。
- 力の合成:物体にはたらくいくつかの力を1つの力にまとめること。この力を合力という。平行四辺形の対角線で表される。
- 力の分解:1つの力を2力に分けること。分解されたことを分力という。
斜面上の物体にはたらく力:重力を斜面上にそった方向と斜面上に垂直の方向に分解する。斜面に垂直な方向の力は、物体にはたらく垂直抗力とつり合う。
コメント