「運動(等速直線・斜面・摩擦・慣性など)」のまとめです。この単元「運動」は入試でも高い頻度で出題されます。特に斜面と水平面を繋いだ台上での運動は力学的エネルギーの変化とともに大事になります。また、「速さの求め方」、「グラフの特徴」、「力がはたらき方」など、問われる内容は多いです。それでは、中3理科の「運動(等速直線・斜面・摩擦・慣性など)」のまとめをみていきましょう。
速さ
速さは、「距離÷時間」で求めます。
- 速さ…物体が運動して決まった時間内に進む距離で表す。単位はcm/s(毎秒センチメートル)など。運動とは、時間とともに位置を変えること。距離は、直線距離でなく道のりのことです。
<例>200mの距離を25秒で走る人の速さは、200m÷25秒=80m/s - 平均の速さ…途中の速さの変化を無視して全体の平均を求める。
- 瞬間の速さ…非常に短い時間に進んだ距離を求める。
- 運動の調べ方…記録タイマーやストロボスコープなどを使って一定時間ごとの物体の位置を記録する。
記録タイマー
記録タイマーは、打点間の時間間隔は一定。打点間隔が広いほど速さは大きい。記録タイマーはベル振動子と同じ構造のもので、記録する部分の先が、1秒よりずっと短いほぼ一定の時間間隔で振動していて、カーボン紙などを通して、その1振動ごとに テープに打点をつける。したがって、テープ上の打点間隔は、一定時間のテープの移動距離を示すことになる。運動が速ければ、テープはそれだけ速く引っ張られ、打点の間隔、つまり一定時間のテープの移動距離は大きくなるので、打点間隔によって、運動のようすがわかる。
➊メトロノームによる記録…机の上に模造 紙をしき、その上で台車(または、おもちゃの車)を走らせる。メトロノームの1打ごとに車がある位置に鉛筆で模造紙の上に印をつける。
➋ストロボ装置による記録…さらに速い運動を記録する方法 として、ストロボ装置による方法がある。これは運動する物体に、一定の周期で非常に速く点滅する光を当て、照らされた瞬間を撮影する方法である。ストロボは、ネオンやキセノンランプの放電管を用いて、光を周期的に発光させることのできる装置である。発光間隔も数ヘルツから数百ヘルツまで、連続的に変えることができる

力がはたらき続ける運動
斜面上を下りる運動
力がはたらくと物体の速さが変化する。
- 斜面を下る物体の運動…速さは時間に比例して大きくなる。斜面の傾き大きいほど、速さ大きくなるが、物体の重さには無関係。
摩擦のある水平面上での運動
逆向きの力がはたらくと速さは小さくなる。
- 摩擦のある水面上での運動…速さは次第に小さくなる。
- 摩擦力…物体の運動を妨げる力。
- 斜面をのぼる運動…力が反対向きにはたらくの速さはしだいに小さくなる。
等速直線運動
運動方向に力がはたらかないと物体動き続ける。ふつう、運動している物体には、いつも摩擦力がはたらいているので、外から力を加えないと物体は止まってしまう。そのため、わたしたちの身のまわりでこの運動はあまり見られない。そこで、この運動を実現するために、ガラス板の上でドライアイスを走らせたり、エアトラックの上で物体を走らせると、物体はまっすぐに速さを変えないで、長い間等速直線運動をすることができる。
- 摩擦のない水面上での運動…運動する方向に力がはたらかないので速さは変化しない。
- 等速直線運動…運動方向に力がはたらかないとき、物体が同じ速さでまっすぐに進むこと。速さのグラフは横軸に平行になり、移動距離のグラフは原点を通る直線になる。移動距離は時間に比例。また、移動距離=速さ×時間となる。
グラフ
等速直線運動では、時間を 横軸に、速さを縦軸にとってグラフをかくと、横軸に平行な直線になる。また、移動距離と時間の関 係は,下の図のような原点を 通る直線のグラフになる。上のような時間と移動距離 のグラフでは, グラフの傾きが速さを表すので、グラフの傾きが大きいほど速さが速いことを示す。
ドライアイスとエアトラック
これは、ガラス面上に置かれたドライアイスは、それからふき出る二酸化炭素のガスのため少しうき上がって摩擦がきわめて小さくなるためである。エアトラックは、物体を運動させるレールの間から空気をふき出して、物体とレールとの摩擦を少なくしたものである。これらは等速直線運動の実験に用いられている。
慣性
力がはたらかなければ運動状態は変わらない。
- 慣性…物体の運動状態が変わりにくいことを慣性が大きいという。物体の質量が大きいほど慣性が大きい。
- 慣性の法則…物体に力がはたらかなければ、静止している物体は静止を続ける。運動している物体は、等速直線運動を続ける。
運動分野の練習問題
【問1】次の問いに答えなさい。
- 定滑車を使って、100Nの物体を0.5m持ち上げるには、何Nの力で何m引けばよいか。またそのときの仕事の大きさは何Jか。
- 重さの無視できる動滑車を1個使って、100Nの物体を0.5m持ち上げるには、何Nの力で何m引けばよいか。またそのときの仕事の大きさは何Jか。
- 傾きが30°の斜面を使って、100Nの物体を0.5m持ち上げるには、何Nの力で何m引けばよいか。またそのときの仕事の大きさは何Jか。
- 支点から物体までの長さが①、支点から力点までの長さ②のてこを使って、100Nの物体を0.5m持ち上げるには、何Nの力で何m押せばよいか。またそのときの仕事の大きさは何Jか。
- 道具を使っても、使わなくても仕事の大きさが変わらないことを何というか。
- 100Nの物体を定滑車を使って持ち上げる場合何Nの力が必要か。
- 2kgの物体を重さの無視できる動滑車を1つ使って2m持ち上げる場合、何Nの力で何m引けばよいか。
- 500Nの物体を斜面を使って80cmの高さまで持ち上げるとき、行う仕事の大きさは何Jか。また斜面に沿って引く力は何Nか。ただし、斜面に沿って1.6m引っ張たものとする。
- 支点から物体までの腕の長さが②、支点から力点までの腕に長さが③のてこを使って、6kgの物体を持ち上げる場合、力点に何Nの力を加えればよいか。
【問2】次の問いに答えよ。
- 物体がその運動を続けようとする法則を何というか。
- 物体がその運動を続けようとする性質を何というか。
- 物体に外から力を加えない場合、静止している物体はどうなるか。
- 運動している物体にはたらく力がつり合っている場合、物体はどんな運動をするか。
- 慣性の法則を「力」「静止」「等速直線運動」の語句を使って説明せよ。
- 身近な慣性の具体例を書け。
- だるま落としてで輪をはじくと上のだるまはどうなるか。
【問3】次の問いに答えよ。
- 物体に力がはたらいていても物体が静止している場合、物体にはたらいている力はどうなっていると言えるか。
- 物体にはたらく2力がつり合うための条件を3つ答えよ。
- 床の上に物体があり静止しているとき、重力とつり合っている力は何か。
- 物体が水面に浮かんで静止しているとき、物体にはたらく重力とつり合っている力は何か。
- 床の上にある物体に力を加えて動かそうとするとき、動く向きと逆向きにはたらき、物体の運動をさまたげようとする力を何というか。
- 物体の運動の向きと同じ向きに力がはたらくと、物体の速さはどうなるか。
- 物体の運動の向きと同じ向きにも、逆向きにも力がはたらかないとき、物体の速さはどうなるか。
- (7)の運動を特に何というか。
- 斜面を下る台車の速さは次第にどうなるか。
- 斜面を下る台車の運動の向きと同じ向きにはたらく力の大きさについて正しいものを選べ。
ア:だんだん大きくなる
イ:だんだん小さくなる
ウ:一定で変わらない
エ:はたらいていない
運動分野の練習問題解答
【問1】
- 力の大きさ:100N 距離:0.5m、仕事=100N×0.5m=50J
- 力の大きさ:50N 距離:1.0m、仕事=50N×1.0m=50J
- 力の大きさ:50N 距離:1.0m、仕事=50N×1.0m=50J
- 力の大きさ:50N 距離:1.0m、仕事=50N×1.0m=50J
- 仕事の原理
- 100N
- 10N、4m
- 400J、250N
- 40N
【問2】
- 慣性の法則
- 慣性
- 静止をし続ける。
- 等速直線運動を続ける。
- 物体に外から力がはたらかない場合、静止している物体は静止をし続け、運動している物
- 体は等速直線運動を続けようとすること。
- 電車が急ブレーキをかけると、体が進行方向に傾いた。
- 真下に落ちる
【問3】
- つり合っている
- 2力の大きさが等しい。2力の向きが反対。2力は一直線上ではたらく。
- 垂直抗力
- 浮力
- 摩擦力
- 速くなる(大きくなる)
- 一定で変化しない
- 等速直線運動
- 速くなる(大きくなる)
- ウ
コメント
わかりやすいです。よっかた