中3理科「物体の運動のポイントまとめ」です。
物体の運動のポイントまとめ
【ポイント】速さについて
速さは、「距離÷時間」で求めます。
- 速さ…物体が運動して決まった時間内に進む距離で表す。単位はcm/s(毎秒センチメートル)など。運動とは、時間とともに位置を変えること。距離は、直線距離でなく道のりのことです。
<例>200mの距離を25秒で走る人の速さは、200m÷25秒=80m/s - 平均の速さ…途中の速さの変化を無視して全体の平均を求める。
- 瞬間の速さ…非常に短い時間に進んだ距離を求める。
- 運動の調べ方…記録タイマーやストロボスコープなどを使って一定時間ごとの物体の位置を記録する。
記録タイマーは、一定時間ごとの物体の位置を記録でします。つまり、運動のようすを記録テープに打点により記録する装置です。東日本と西日本の電流の周波数の違いにより打点数が異なります。
- 東日本:周波数50Hz→1秒間に50回打点(5打点打つのにかかる時間は0.1秒)
- 西日本:周波数60Hz→1秒間に60回打点(6打点打つのにかかる時間は0.1秒)
【ポイント】記録タイマー
記録タイマーは、打点間の時間間隔は一定。打点間隔が広いほど速さは大きい。記録タイマーはベル振動子と同じ構造のもので、記録する部分の先が、1秒よりずっと短いほぼ一定の時間間隔で振動していて、カーボン紙などを通して、その1振動ごとに テープに打点をつける。したがって、テープ上の打点間隔は、一定時間のテープの移動距離を示すことになる。運動が速ければ、テープはそれだけ速く引っ張られ、打点の間隔、つまり一定時間のテープの移動距離は大きくなるので、打点間隔によって、運動のようすがわかる。
記録タイマーの記録方法
➊メトロノームによる記録…机の上に模造 紙をしき、その上で台車(または、おもちゃの車)を走らせる。メトロノームの1打ごとに車がある位置に鉛筆で模造紙の上に印をつける。
➋ストロボ装置による記録…さらに速い運動を記録する方法 として、ストロボ装置による方法がある。これは運動する物体に、一定の周期で非常に速く点滅する光を当て、照らされた瞬間を撮影する方法である。ストロボは、ネオンやキセノンランプの放電管を用いて、光を周期的に発光させることのできる装置である。発光間隔も数ヘルツから数百ヘルツまで、連続的に変えることができる
記録タイマーの使い方
紙テープを台車にとりつけ、電源のスイッチを入れます。台車を動かすと紙テープが走り、テープ上に点が打たれます。運動の調べ方は、記録タイマーのほか、ストロボスコープがあります。
<特徴>
- 打点間の時間間隔は一定。
- 打点間隔が広いほど速さは大きい。
【ポイント】等速直線運動
運動方向に力がはたらかないと物体は動き続ける。ふつう、運動している物体には、いつも摩擦力がはたらいているので、外から力を加えないと物体は止まってしまう。そのため、わたしたちの身のまわりでこの運動はあまり見られない。そこで、この運動を実現するために、ガラス板の上でドライアイスを走らせたり、エアトラックの上で物体を走らせると、物体はまっすぐに速さを変えないで、長い間等速直線運動をすることができる。
- 摩擦のない水面上での運動…運動する方向に力がはたらかないので速さは変化しない。
- 等速直線運動…運動方向に力がはたらかないとき、物体が同じ速さでまっすぐに進むこと。速さのグラフは横軸に平行になり、移動距離のグラフは原点を通る直線になる。移動距離は時間に比例。また、移動距離=速さ×時間となる。
等速直線運動では、時間を 横軸に、速さを縦軸にとってグラフをかくと、横軸に平行な直線になる。また、移動距離と時間の関係は、原点を通る直線のグラフになる。上のような時間と移動距離のグラフでは、グラフの傾きが速さを表すので、グラフの傾きが大きいほど速さが速いことを示す。
エアトラック
ガラス面上に置かれたドライアイスは、それからふき出る二酸化炭素のガスのため少しうき上がって摩擦がきわめて小さくなるためである。エアトラックは、物体を運動させるレールの間から空気をふき出して、物体とレールとの摩擦を少なくしたものである。これらは等速直線運動の実験に用いられている。
慣性
力がはたらかなければ運動状態は変わらない。
- 慣性…物体の運動状態が変わりにくいことを慣性が大きいという。物体の質量が大きいほど慣性が大きい。
- 慣性の法則…物体に力がはたらかなければ、静止している物体は静止を続ける。運動している物体は、等速直線運動を続ける。
【ポイント】斜面上を下りる運動
力がはたらくと物体の速さが変化する。なめらかな斜面上を台車がすべて落ちるときの運動では、速さは時間に比例してはやくなる。一定時間の増加分は等しい。また、移動距離は、時間の2乗に比例して大きくなる。
また、斜面の傾きが大きくなればなるほど、台車のすべり落ちる速さは、はやくなる。それは、傾きが大きいほど、台車の重力の斜面に沿った向きの分力が大きくなるからである。
等加速度運動
単位時間あたりに一定の割合で速度が変化する運動。斜面に沿った運動や自由落下は、一定の割合で速度が増加していく等加速度運動である。等加速度直線運動における移動距離は、時間の2乗に比例する。
摩擦のある水平面上での運動
逆向きの力がはたらくと速さは小さくなる。
- 摩擦のある水面上での運動…速さは次第に小さくなる。
- 摩擦力…物体の運動を妨げる力。
- 斜面をのぼる運動…力が反対向きにはたらくの速さはしだいに小さくなる。
【ポイント】自然落下運動
落下運動は、等加速度運動の代表的なものの1つである。物体が自然に落下するとき(自由落下)、落下の速さは時間に比例する。おもりの落下運動のようはストロボ写真で観察することができる。
落下運動のストロボ写真
静止している金属玉を自然に落下させたときのストロボ写真では、落ちはじめてから、秒ごとの球の位置がうつされます。1秒後から球が10秒間に落ちる距離を、目盛りを用いて読み取り、これを秒で割ると、各間隔ごとの平均の速さが求められる。この速さをグラフにすると、グラフはほぼ直線になる。すなわち、速さはほぼ時間に比例してふえていくことがわかる。
重力加速度(発展内容)
地上で自由に落下する物体は、重力の作用によって加速度のある運動をする。そして、その加速度の大きさは、物体の重さに関係なく、約980cm/秒(=約98m/秒)となる。自由に落下した質量の異なる2つの物体は、落下してから同じ時間に同じ速さになり、同じ距離だけ落下することになる。しかし、緯度の違いや海抜高度などの地理的条件によって、多少変化する。
古くは、重い物体は軽い物体より速く落ちると考えられていた。たとえば、木の葉や羽毛の落下運動は非常に複雑で、きりもみ状の運動をしながら、鋼球などに比べて非常にゆっくりと落下する。これは物体が軽いため、上向きの空気の抵抗の影響が大きくなって、ゆっくりと落下するのである。空気の影響をさけるため、真空容器の中で実験すると、どの物体も同じ加速度で落下する。
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