中3理科「遺伝の規則性と遺伝子のテスト対策問題」です。遺伝の規則性は、中学3年生の理科で学ぶ興味深いテーマの一つです。親から子へ受け継がれる形質がどのように決まるのか、メンデルの法則や遺伝子の組み合わせを理解することで、生命の仕組みへの理解が深まります。この単元は、テストで頻出の分野でもあり、遺伝子の表現型や分離比、顕性・潜性の法則など、押さえるべきポイントが多いのが特徴です。この記事では、遺伝の規則性に関するテストによく出る問題をピックアップし、わかりやすく解説します。苦手意識をなくし、自信を持ってテストに臨みましょう!
【対策問題】遺伝の規則性と遺伝子の演習問題
【問1】エンドウの種子の形質における遺伝の規則性を調べる実験について、手順と結果を読み、次の問いに答えなさい。
<手順>
- 代々丸い種子をつくる純系のエンドウと、代々しわのある種子をつくる純系のエンドウを親の代として準備した。
- 異なる純系のエンドウを掛け合わせて、できた種子(子の代とする)の形質を調べた。
- 2でできた子の代の趣旨をまいて育て、花を咲かせた株を自家受粉させ、できた種子(孫の代とする)の形質を調べた。
<結果>
- 子の代にあたる種子は、すべて丸い種子であった。
- 孫の代にあたる種子には、丸い種子としわのある種子が見られた。
1:手順2でのかけ合わせとは、人工的に行う受粉のことをいいます。エンドウなどの被子植物において、受粉とは、何がどのようになることか。簡潔に説明せよ。
2:子の代の種子における遺伝子の組み合わせと形質について、次の文の(ア)、(イ)に適切な語句を入れよ。
「親の遺伝子の組み合わせをAA。もう一方の親の遺伝子の組み合わせをaaとすると、手順2でできた子の代の種子の遺伝子の組み合わせは、( ア )と表されます。また、この代に現れた丸い種子の形質を、現れなかったしわのある種子の形質に対して( イ )の形質といいます。」
3:手順3でできた孫の代の種子における、丸い種子としわのある種子の数の割合は、丸:しわは、何:何か。
4:近年の研究で、生物の形質を決定している遺伝子の本体はDNAであることがわかっています。DNAはなんという物質の略号(略称)か、物質名を答えよ。
【問2】次の問いに答えなさい。
(1) 生物の特徴を表す形や性質のことを何といいますか。
(2) 親から子に形質が伝えられることを何といいますか。
(3) 染色体に含まれ、親から子に形質を伝えるものを何といいますか。
(4) 遺伝子の本体は何か。 アルファベットで書きなさい。
【問3】次の問いに答えなさい。
(1) 親、子、孫と代を重ねても、同じ形質が現れる個体を何といいますか。
(2) 異なる形質を示す純系を親としてかけ合わせたとき、子に現れる形質を何といいますか。
(3) 異なる形質を示す純系を親としてかけ合わせたとき、子に現れない形質を何といいますか。
【ポイント】遺伝子
カエルの子はカエルになり、アサガオの種子からはアサガオが育つというように、別の種類の子孫がうまれることはない。このように、同じ親からは、同じような子がうまれる。子が親に似ているのは、親のもっている形や性質が、親から子へ伝えられるためであり、それによって種類の特徴が保たれる。
形質は、生物のからだの特徴となる形や性質のこと。からだの形や色、大きさなど目に見えるもののほかに、性質、鳴き声など目に見えないものの特徴をまとめていうときに、形質という。
遺伝と遺伝子
親の形質が子に伝わることを遺伝といい、遺伝する形質を現すもとになるものを遺伝子という。遺伝子は細胞内の染色体に一定の順序で並んでいて、染色体とともに行動する。1つの形質について2つの遺伝子が支配する。遺伝子の実体は、一部の生物をのぞいて、すべてデオキシリボ核酸(DNA)という物質である。それぞれの生物によりDNAの量(長さ)がちがっていると考えられる。子ができるとき、親からの精子や卵などの生殖細胞を通して、この遺伝子が染色体とともに子に伝えられるために 親の形質が子に現れるのである。
有性生殖の特徴
有性生殖では、精子と卵、精細胞と卵細胞の核が合体し、子には雌の親の染色体と雄の親の染色体が両方伝えられるので、子は親とは異なる遺伝子の組み合わせをもつことになる。したがって、同じ親からうまれる子でも、子によって異なる形質が現れることがある。有性生殖の利点は、さまざまな形質を現すので、環境の変化に対応できる子孫をつくることに役立つ。
無性生殖の特徴
無性生殖では、親のからだが2分されたり、からだの一部が分かれたりして子ができるので、子と親の細胞は同じ染色体をもっている。すなわち、子の代の生物はすべて親と同じ遺伝子の組み合わせをもっており、同じ形質を現す。
遺伝子の利用
遺伝子の解析や技術応用が進んでいます。
- クローン
- DNA解析
- DNA鑑定
- 遺伝子組み換え
などがあります。それぞれについて説明します。
クローン
完全に同じ核をもつ生物の集団またはそのような個体。ある個体の核を未受精卵の核に移植してつくる。生まれたクローンは遺伝的に親と完全に同じ形質をもつ。肉牛などに応用されている。
DNA解析
DNAの構成要素の並びを調べることにより、ガンや糖尿病などの病気に関係する遺伝子の異常がわかれば、治療や医薬品開発に役立つと期待される。また、ヒトが知能をもつようになった理由なども研究できる。
DNA鑑定
DNA上のある遺伝子の構成要素が1つだけ違っている場合があり、人によってそれぞれ異なっている。偶然に一致するのは約5兆人に1人の割合であるといわれていて、個人を識別する鑑定の方法として、犯罪捜査や親子の認定などに利用されている。
遺伝子組み換え
有用な遺伝子を大腸菌のDNAに組みこみ、目的の物質を大量につくらせたり、性質の異なる作物(ダイズ, トウモロコシなど)や花をつくったりしている。
遺伝のしくみ
子に現れる形質を説明する法則です。
対立形質
種子の形と一つの形質について、「丸」と「しわ」のように対となる形質のこと。その原因となっている対になる遺伝子を対立遺伝子という。
<例>
- エンドウの種子の形(丸形、しわ形)
- エンドウの草丈の(高、低)
メンデルはエンドウを用いて種子の形、子葉の色など7つの対立形質に着目して遺伝の研究を行った。
純系
有性生殖で親、子、孫と代を重ねたときすべての個体のある形質が同じである場合、その形質の純系と呼ばれる。
優性の法則
対立形質をもつ純系の親同士を掛け合わせた時、その子に親のどちらかの一方の形質だけが現れること。そこに現れる形質を優性の形質、子に現れない形質を劣性の形質という。
<例>
- エンドウで、丸形の純系としわの純系を掛け合わせると種子は全て丸形になる。その場合、丸形が優性であり、しわ形が劣性である。
(注意)「優性・劣性」は、「優れている・劣っている」の意味ではないことに注意。単に「発現する・発現しない」の意味でしかない。
遺伝子型
対立遺伝子は、アルファベットで表す。優性の遺伝子を大文字で、劣性の遺伝子を小文字で表す。遺伝子の組み合わせ(AA、Aa、aaなど)を遺伝子型という。遺伝子型がAAやでAaである時は、Aの形質が現れ、aaであるときは、aの形質が現れる。
減数分裂
減数分裂では、対になる遺伝子は分離する。
分離の法則
減数分裂で、親のもつ一対の遺伝子が分離し、別々の生殖細胞に入ること。
<例>
- エンドウで子葉が黄色の純系と緑色の純系の掛け合わせ。
DNA
遺伝の情報を伝えるのはDNA(デオキシリボ核酸)。
遺伝情報を伝える遺伝子は、染色体上にあるが、この遺伝子の実体は、二重らせん構造をしたDNA(デオキシリボ核酸)である。
遺伝子とは、生物が持つ形質を現すもとになるものです。染色体をつくっているDNAにその情報が記録されています。このDNAに書き記された情報を遺伝子というのです。
わかりやすく例えると、次のようになります。
- 本→染色体
- 本をつくっている紙→DNA
- 本に書かれた情報→遺伝子
【解答・解説】遺伝の規則性と遺伝子の演習問題
【問1】
- 花粉が柱頭につくこと
- アAa イ顕性(優性)
- 丸:しわ=3:1
- デオキシリボ核酸
【問2】
(1)形質
(2)遺伝 生物の形や性質などの特徴を形質といい、親の形質が子や孫に伝えられることを遺伝という。
(3)遺伝子
(4)DNA
【問3】
(1)純系
(2)顕性形質
(3)潜性形質
遺伝とは、親から子に形質(たとえば身長や目の色)が伝わることです。これは遺伝子と呼ばれるDNAの一部によって決まります。遺伝子は染色体という構造に収められており、私たちの細胞には46本(23対)の染色体があります。遺伝の規則性はメンデルの法則によって説明されます。・顕性の法則:顕性の遺伝子が1つでもあればその形質が現れます。潜性の遺伝子は両方の親から1つずつ受け継がないと現れません。
・分離の法則:親の遺伝子は子供に伝わるときに分かれて伝わります。
・独立の法則:遺伝子は独立して遺伝し、ある形質が別の形質に影響を与えることはありません。
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