中学理科「仕事とエネルギー」対策問題です。仕事とエネルギーは、中学理科で学ぶ物理分野の中でも特に重要なテーマであり、テストで頻出する内容の一つです。物体に力を加えて動かす「仕事」の考え方や、位置エネルギーや運動エネルギーの計算、エネルギー保存の法則など、この単元を理解することで、物理の基礎がしっかり身につきます。また、日常生活や自然界での現象と結びつけやすいため、実感を持って学ぶことができます。この記事では、仕事とエネルギーに関するテストでよく出る問題をわかりやすく解説し、押さえておくべきポイントをまとめました。しっかり復習して、テストで高得点を目指しましょう!
【問題】仕事とエネルギーの定期テスト対策問題
【問1】次の問いに答えなさい
- 次の(1),(2)にあてはまる言葉を答えなさい。
仕事 [J] = 物体に加えた( 1 ) [N]×力の向きに移動させた( 2 ) [m] - 20 Nの力で荷物を 0.5m 持ち上げたときの仕事は何Jか。
- 水平面である物体を3mおしたとき, 20Nの摩擦力がはたらいた。このときの仕事は何Jか。
- 定滑車を使って荷物を持ち上げるとき,これを利用しない場合と比べて、①加える力の大きさ、②ひもを引く距離はそれぞれどうなるか。
- 動滑車を使って荷物を持ち上げるとき,これを利用しない場合と比べて、①加える力の大きさ、②ひもを引く距離はそれぞれどうなるか。
- 摩擦や道具の質量を考えない場合、動滑車を利用すると、これを利用しない場合と比べて、仕事の大きさはどうなるか。
【問2】次の問いに答えなさい。
(1) 物体に力を加え、物体がその向きに動いたとき、力は物体に何をしたといいますか。
(2) 仕事の大きさは、何と何の積で表されますか。
(3) 動滑車を使うと、動滑車を使わない場合と比べて、加える力の大きさは何倍になりますか。ただし、滑車の質量は無視できるものとする。
(4) 動滑車を使うと、動滑車を使わない場合と比べて、力を加える距離は何倍になりますか。
(5) 道具を使って仕事をしても、道具を使わずに仕事をした場合と仕事の大きさは変わらない。このようになることを何といいますか。
【問3】次の問いに答えなさい。
(1) ほかの物体に仕事ができる能力を何といいますか。
(2) 高いところにある物体がもつエネルギーを何といいますか。
(3) 位置エネルギーについて答えなさい。
➀ 位置エネルギーの大きさは、物体の位置が高いほどどうなりますか。
➁ 位置エネルギーの大きさは、物体の質量が大きいほどどうなりますか。
(4) 運動している物体がもつエネルギーを何といいますか。
(5) 運動エネルギーについて答えなさい。
➀ 運動エネルギーの大きさは、物体の速さが速いほどどうなりますか。
➁ 運動エネルギーの大きさは、物体の質量が大きいほどどうなりますか。
(6) 位置エネルギーと運動エネルギーの和を何といいますか。
【ポイント】仕事のポイント
仕事の量は力と移動距離で決まる。物体を動かさないときには、物体に力がはたらいていて、電力や燃料を補給する必要がないが、物体を動かそうとすれば、その分だけ何かを補給しなければならない。したがって、物体に力を加えてその物体が動いたときに、物体に対して「仕事をした」といいいます。
仕事の表し方の量は大きさと力の向きに動いた距離の積で表される。仕事の大きさは、作用する力が大きく、大きいほどそれに比例して大きくなる。
仕事か否かの例
- 仕事×:10kgの物体をもって10分間立っていた。物体動いてないから仕事はしていない。
- 仕事×:10kgの物体をもって水平に10m歩いた。地面から垂直平行に力がくわえているが、その向きに物体を置いてないから仕事はしていない。
- 仕事○:10kgの物体を鉛直方向に1m引き上げた。力の向きに鉛直方向ではその向きに物体が動いているから仕事をした。
仕事の大きさ
仕事の量は、物体にはたらかせた力の大きさと力の向きに物体が動いた距離との積で表す。
(仕事の公式)仕事[J]=力の大きさ[N]×移動距離[m]
仕事率
仕事の能率は、仕事率で表す。単位時間になされた仕事の量をいう。単位はW(ワット)。
(仕事率の公式)仕事率[W]=仕事[J]÷時間[秒]
仕事の原理のポイント
力で楽(ラク)ができても、仕事の量は変わらない。道具を使うと小さな力で大きな力を出すことができる。しかし、仕事の量を大きくすることはできない。これを仕事の原理という。たとえば、てこや滑車・斜面などの道具を使って仕事をさせるとき、力を大きくすることはできるが、道具に対してあたえた仕事よりも大きな仕事を道具にさせることはできない。仕事の原理は、道具を使っても、仕事を新しくうみ出すことができないことを表している。
てこを使った仕事
てこを使った仕事でも仕事の原理は成り立つ。
滑車を使った仕事
滑車を使った仕事も仕事の原理は成り立つ。重さの無視できる動滑車を1つ使うと、たとえば、重さ10Nの物体を引き上げる力Fは、5Nでよい場合があったとする。
一方で、この場合、物体を10cmだけ引き上げるには、ひもを20cm引かなければならない。このとき、人が動滑車にする仕事は、 (ひもに加える力)×(ひもを引く距離)=5[N]×0.2m=1.0となる。
また、動滑車が物体にする仕事は、 (物体の重さ)×(物体を引き上げる距離)= 10[N] × 0.1[m] = 1.0 となる。人がする仕事と滑車が物体にする仕事とは等しく、仕事の原理が成り立つ。
- 定滑車による仕事:物体を引き上げるとき、力の大きさは物体の重さと同じで、ひもを引く長さは、物体が動く距離と同じ。
- 動滑車による仕事:物体を引き上げるとき、力の大きさは物体の重さの1/2で、ひもを引く長さは物体が動く距離の2倍。
力の合成・分解
斜面上の物体の重力は、2つの力に分解する。
- 力の合成:物体にはたらくいくつかの力を1つの力にまとめること。この力を合力という。平行四辺形の対角線で表される。
- 力の分解:1つの力を2力に分けること。分解されたことを分力という。
斜面上の物体にはたらく力:重力を斜面上にそった方向と斜面上に垂直の方向に分解する。斜面に垂直な方向の力は、物体にはたらく垂直抗力とつり合う。
力学的エネルギーのポイント
力学的エネルギーは、位置エネルギーと運動エネルギーは合わせた呼び方で、エネルギーが変換する前後でエネルギー量は変化しない。力学的エネルギー保存の法則といい、位置エネルギーと運動エネルギーの和はいつも一定である。これは、力学的エネルギーが、位置エネルギーと運動エネルギーは互いに移り変わることができ、エネルギーの和が変わらないということです。
位置エネルギー
位置エネルギーは高いところにある物体が持つエネルギー。
- 物体の高さとの関係は、比例する。
- 物体の質量との関係は、比例する。
- 位置エネルギーの大きさは、(高さ)×(質量)に比例。
運動エネルギー
運動エネルギーは、運動している物体が持つエネルギー。
- 物体の速さとの関係は、2乗に比例する。
- 物体の質量との関係は、比例する。
- 運動エネルギーの大きさは(速さの2乗)×(質量)に比例。
エネルギーの変換
電気ストーブは電気エネルギーを熱エネルギーに変化する。エネルギーの移り変わりは、互いに他のエネルギーに移り変わる。
- 火力発電:石油の化学エネルギー→熱エネルギー→運動エネルギー→電気エネルギー
- 水力発電:位置エネルギー→運動エネルギー→電気エネルギー
- 原子力発電:核エネルギー→熱エネルギー→運動エネルギー→電気エネルギー
- 電灯:電気エネルギー→熱エネルギー→光エネルギー
・電気エネルギー:モーターに電気を流すと模型の自動車を動かすことができる。
・熱エネルギー:水を熱で水蒸気ですると物体を動かすことができる。
エネルギーの保存
エネルギーが変換する時、一部は熱エネルギーになる。エネルギーの保存は、エネルギーが別のエネルギーに変換される時、一部は熱エネルギーに変わってしまうが、この熱エネルギーも含めると変換する前後でエネルギーの総和変化しない。
【解答】仕事とエネルギーの定期テスト対策問題
【問1】
- (1)力、(2)距離
- 10J
- 60J
- ①変わらない ②変わらない
- ①小さくなる ②大きくなる
- 等しい
【問2】
(1) 仕事
(2) 力の大きさと力の向きに動いた距離の積
(3)0.5倍
(4)2倍
(5) 仕事の原理
【問3】
(1)エネルギー
(2)位置エネルギー
(3)➀ 大きくなる。 ➁ 大きくなる。
(4)運動エネルギー
(5)➀ 大きくなる。 ➁ 大きくなる。
(6)力学的エネルギー
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