中2理科「電流の正体のポイント」です。
静電気のしくみ
静電気は、2種類(電流が流れにくい物質である絶縁体どうし)の物質を摩擦することによって生じる電気です。静電気には、+、-と2種類があり、同じ種類の電気どうしは反発し、ちがう種類の電気どうしは引き合います。
たとえば、
- プラスチックの詩だ時期のものさしをセーターで摩擦すると小さな紙切れや髪の毛が引きつけられる。
- 衣服がからだにまとわりついたり、セーターをぬぐと、パチパチという音をともに一瞬光が見える。
- 空気の乾燥した日にドアノブにふれると、パチっと音がする。
などが静電気の例です。
静電気が生じる理由
こすり合わせる、つまり摩擦を起こすことで、物質の中にある-の電気をもつ小さな粒(電子)が、一方の物体へ移動するために生じます。
2種類の物質を用意します。静電気が発生する前は、物質の中にあるプラスの電気を帯びた粒子と、マイナスの電気を帯びた粒子が同じ数ずつあります。ということは、物質全体で、どちらも電気を帯びていない状態です。この2種類の物質をこすり合わせる、摩擦させると、次のマイナスの電気を帯びた粒子が、一方の物質から他方の物質に移動します。このマイナスの電気を帯びた粒子を「電子」と呼びます。
<ポイント>
- 通常、物質の中には+の電気と-の電気が同じだけある。
- 摩擦によって、-の電気が片方の物質に移動する。
- 一方の物質は、-の電気を失って、+の電気を帯び、もう一方の物質は-の電気を受けとって、-の電気を帯びる。
静電誘導
帯電していない導体を絶縁し、帯電体を近づけると、帯電体に近い部分の導体には、帯電体とちがう種類の電気が、遠い部分には同じ種類の電気が現れます。現れる+と-の電気量は等しい。この現象を静電誘導といいます。はく検電器は、静電誘導を利用した器具の1つです。
静電気の種類
静電気には、+と-の2種類があります。同じ種類の電気どうしでは、反発する力がはたらき、ちがう種類の電気どうしでは引き合う力がはたらきます。帯びる電気の種類によって、引きあったり、しりぞけ合ったりします。
- プラス(+)とプラス(+)→しりぞけ合う
- プラス(+)とマイナス(ー)→引き合う
- マイナス(ー)とマイナス(ー)→しりぞけ合う
放電
放電は、たまっていた電気が流れだしたり、空気の中に電流が流れる現象です。
放電の例として、
- ドアのノブにふれると、パチっと音がして火花が飛ぶ
- 雲にたまった静電気がいっせいに流れ、火花となったいなずま
このような現象が「放電」です。この電気の流れを、「電流」といいます。
静電気による放電では、物体にたまっていた電気が移動することで電流が流れます、静電気を帯びた物体にネオン管や蛍光灯を近づけると光ることから電流が流れたことがわかります。
- 火花放電…雷のように空気の中を電流が流れる現象。
- 真空放電…圧力が小さな空気中に電流が流れる現象。
雷は、ふつうは電気が流れない空気中を、雲にたまった電気がいっせいに流れ、火花となったもので、放電の一種です。空気との摩擦で、静電気を帯び、それが集まって数億ボルトから数十億ボルトという高い電圧となって、雲と雲、雲と地表の間などで放電がおこります。
真空放電
細長いガラス管の両端に電極を封入した放電管に、誘導コイルを用いて、高い電圧をかけます。真空ポンプで、放電管内の空気を徐々にぬいていき、その圧力を数mmHgにすると電極の間で放電がおこります。この現象を真空放電といいます。
<実験>
- 放電管内の空気を真空ポンプで抜き、圧力が低い状態にする。
- 誘導コイルを使って放電管の両端に高い電圧を加える。
- 管内のようすを観察する。
<結果>
放電管内に青い線が見えます。これは、放電管の両端に強い電圧を加えることで、放電管内に電流が流れたためです。この電流の正体は電子というマイナスの電気を帯びた粒子で、空気中の酸素や窒素原子と電子が衝突することで、青い光の線が見えるのです。
まとめると、真空放電とは、放電管内の空気を抜いて、気圧が低い状態し、放電管の両端に高い電圧をかけることで起こる放電現象です。
真空放電管内の圧力と管内のようすは以下のようになります。
- 100~20mmHg…細い青白い放電。
- 20~5mmHg…両極間に赤紫色の光が広がります。
- 5~1mmHg…-極は青白く、+極は赤紫色。
- 1~0.01mmHg…暗くなり。電極付近のガラスの表面から、蛍光を出す。
ガイスラー管
管内の圧力を、数十mmHgから数mmHgにした真空放電管を、ガイスラー管といいます。管内の気体が発行する放電をグロー放電といいます。
クルックス管
ガラス管内の空気を真空放電のときよりもぬいた器具です。
- 陰極線…電圧をかけて電流をながしたとき、-極から+極に向かってまっすぐ飛んでくるもの。
- 電子…-の電気をもつ小さな粒。陰極線は電子の流れで、現在では、陰極線のことを電子線といいます。
導線に電圧をかけると、光の速さと同じ速さでそれが導線に影響し、ほとんど一瞬に導線全部に電圧の分布ができる。この電圧のために、導線内の自由電子は、導線のどの部分でもいっせいに電池の-極から+極に向かって動き、導線をつくっている原子(電子を失った陽イオン)にぶつかりながら進むが、その速さはあまり速くない。これが電流である。
このことは、長い鉄管の全体に水を入れておいて、一方から水をおすと、水はただちに他方の口から流れ出るが、管中の水(自由電子に相当する)はごくわずかしか動いていないのと似ている。
電子の動く向きは、電流の流れと逆向きである。
電子の流れと抵抗
陰極線の実験で電圧をかけると、電子は加速されてきわめて速く動くが、金属導体中では電圧をかけても、自由電子はあまり速くは動けない。これは、導体の原子が規則正しくならんでいて、温度に応じて振動しているため、自由電子が原子と衝突しながら、ジグザグに進むからである。
電子線の性質と正体
電子線には、つぎのような性質や作用がある。
- (陰)極面から垂直に出て直進する。
- 物体に当たると力をおよぼす。
- けい光物質に当たって、けい光を発する。
- 磁界や電界中で力を受けて曲がる。
- 写真乾板を感光させる。
- 気体の分子に衝突すると、それをはね飛ばしたりイオンにしたりする。
陰極線の性質から粒子の流れであることが予想され、磁界や電界中で受ける力の向きから-の電気を帯びていることがわかる。 陰極線の正体は電子というきわめて小さな-の電気を帯びた粒子の流れである。このため、陰極線のことを電子線ともいう。
●ここだけは押さえる
- 電子線は-極から出て+極に向かう。
- 電子線は、電極版の+極側に曲がります。
- 電子線は、磁石によって曲げられます。
自由電子
金属のような原子では、その中に含まれている電子の一部が原子からはなれて、自由に移動することができます。このような電子を自由電子といいます。自由電子のある物質が導体で、ない物質が不導体です。
金属の中の自由電子は金属の両端に電圧をかけると、正極のほうに移動する。この電子の動きが電流で、一定時間に移動する電子の数が多いほど、大きい電流が流れたことになります。
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