南アメリカ州についてです。学習のポイントは、南アメリカでは先住民とヨーロッパ人が混じり合った州になります。他の地域の比べて覚えることは少ないので、赤道の位置、著名な山脈、河川、各国の特産物、工業の特徴を、確実に押さえておきましょう。
南アメリカ州の概要
- インカ帝国…アンデス高地で高度な文明が栄える。
- 歴史…ポルトガルの植民地となったブラジル以外は、スペインの植民地で19世紀以降にほとんどの国が独立。
- 民族…先住民はインディオ。世界各国各地から多くの移民。インディオとヨーロッパ系の混血のメスチーノ。ヨーロッパ系とアフリカ系の混血のムラートの割合が高い。
- 公用語…多くの国がスペイン語とポルトガルが公用語。
ポルトガル人とスペイン人はラテン系民族なので、ラテンアメリカとよばれる。
南アメリカ州の地形
- アンデス山脈…西部に高くて険しいアンデス山脈が南北に連なる。多くの鉱山都市がある。
- アマゾン川流域…熱帯雨林が広がる。
- ブラジル高原…中央部はサバナ気候で、草原が広がる。
- ラプラタ川流域…温帯でパンパと呼ばれる草原が広がる。
南アメリカ州の工業
南アメリカ州では、植民地時代に大農園が開かれました。ブラジルではさとうきびやコーヒーの栽培、アルゼンチンのパンパでは小麦の栽培や肉牛の放牧が行われてきました。エクアドルやコロンビアなどでは、多国籍企業のプランテーションで輸出用のバナナが栽培されています。
ブラジルは、かつてはコーヒー豆の輸出にたよるモノカルチャー経済の国でしたが,近年では、大豆、さとうきびなどの生産も増 えています。特に大豆は、ブラジルとアルゼンチンの重要な輸出品となっており、アメリカ合衆国などのアグリビジネスを行う企業が大量に購入しています。
南アメリカ州は鉱産資源が豊富です。ブラジルの鉄鉱石、チリの銅、ベネズエラやエクアドルの原油などは各国の重要な輸出品です。ブラジルやアルゼンチンは、アメリカ合衆国や日本などの外国企業を受け入れて工業が成長しました。特にブラジルは、航空機の製造がさかんです。
ブラジル
ブラジルは、南アフリカ大陸の約半分を占める。
- 人口…約1億9400万人で世界第5位。日系人も多く生活。
- 農業…コーヒー・サトウキビの栽培がさかん。コーヒーの生産量・輸出量世界一。さとうきびを原料としてバイオエタノールを生産。
- 鉱業…鉄鉱石・ボーキサイトなど鉱産資源が豊富。鉄鉱石の生産は世界有数。
- 工業…南アメリカ最大の重化学工業国。BRICsの一員。
- 環境問題…焼畑農業・道路建設・牧場の増設などにより熱帯林の破壊が進み、環境問題が深刻となっている。
■ ブラジルにみる開発と環境保全
20世紀後半に、鉱山の開発が進んで熱帯林が切り開かれ、鉄道が敷かれ、道路が開通しました。伐採の跡地は牧場・農地となり、肉牛の飼育・大豆の栽培などが行われています。熱帯林が減少すると、光合成による二酸化炭素の吸収量が少なくなり、地球温暖化が進むと考えられています。
熱帯林の一部は国立公園・世界遺産などの保護地域に指定され、開発が規制されていますが、違法な伐採は無くなっていません。ブラジルでは、さとうきびを原料とするバイオ燃料が生産され、自動車の燃料として使われています。一方で、さとうきびの生産を増やすために土地が開発されており、土壌の流出などの問題が起こっています。開発と保全を両立するバランスが求められています。
さとうきびなどの植物を原料としてつくられる燃料。植物は生長の過程で二酸化炭素を吸収するため、バイオ燃料を燃やしても、大気中の二 酸化炭素の総量は増えないと考えられている。
南アメリカ州のその他の国々
- アルゼンチン…ラプラタ川流域の広がるパンパ(草原)は世界的な農業地帯。
- チリ…南北に細長い国。銅の生産量が世界一。
- ペルー…かつて栄えたインカ帝国の遺跡が多く残る。金の生産量は世界一。2008年の調査では、漁業の生産量世界第2位。
- ベネズエラ…南アメリカ最大の産油国。輸出の上位は石油・石油製品がしめている。
鉱産資源に頼る国が多い(モノカルチャー経済)
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